さぁ、最後の事例4です。事例4は事例1〜3と異なり、計算問題が多く出題され、時間配分や解き方も大きく異なります。
財務会計やM&A等に携わっていない方にとっては、難易度が高い科目です。私も、この科目については、随分と苦労をしましたが、結果として、20年度:71点、21年度:75点と2年連続合格点を獲得できました。特に押さえておくべきポイントについて、紹介をしたいと思います。
まず、解く順番です。これがとても重要です。ちなみに20年度はこの解く順番をミスり、自分自身としては不甲斐ない結果に終わってしまいました。
解く順番としては、経営分析→その他の問題→意思決定会計の順が良いです。時間配分として、経営分析を15分で終わらせ、その他の問題に注力、その他の問題が解け次第意思決定に挑戦(55分)、意思決定会計が解けたかどうかに関わらず、最後の10分は、必ず計算ミスの確認や、問題の誤認、単位の違い等を確認するようにします。
理由としては、経営分析は、後でご紹介をしますが、考え方を押さえておけば、誰でも得点することが可能です。ここの型をしっかりと押さえておき、効率的に得点を重ねます。
意思決定会計以外の問題については、特段難問は出づらいので確実に得点を重ねて行きます。CVP分析は一部計算がややこしい問題も出ますが、合否の別れどころなので、確実に取りたい分野です。記述問題についても、必ず記載し、部分点を含めて獲得していきます。
ここまで来て意思決定会計に取り組みます。意思決定会計は例年難問が多く、かくいう私も受験した2年共に解くことはできませんでした。ただ、解けなくても合格点はいきますので、それ以外の問題を確実にとっておくことが重要ですし、経営分析やCVPでの致命的な計算ミスをなくすよう、最後の10分は見直しに専念していきます。
ちなみに、ミスする箇所は決まっているため、自分のミスしやすい箇所は押さえておくと良いと思います。私の場合は、
- 単位間違い(基本は千円、百万円だが、たまに万円で答えさせる問題があります。)
- 率を聞いているところを量で答えてしまう。私は、損益分岐点売上高と損益分岐点比率をよく間違えました。
- 取替投資で、利益を差額の利益で計算せず、全体の利益として計算してしまう。
- 問われているCFが営業CFにも関わらず、全CFを答えてしまう。
といったところで、ミスが多かったです。
あと事例4については、LECの答練と「事例4の全知識&全ノウハウ(以下、全知全ノウ)」を中心に勉強しました。
全知全ノウは、各領域に分けて理解すべき問題から丁寧に解説頂いており、領域ごとの解法の整理に役立ちました。なお、受験生でよく議論が別れる通称イケカコ「意思決定会計講義ノート」ですが、私は購入したものの、なんと手をつけずに終わってしまいました。。。
少し難易度が高いのと、そこまで到達する時間がなかったです。難易度が高い良問が揃っているとお聞きしていますので、過去問をマスターした方はチャレンジしてみては如何でしょうか。
以降で、各領域における解法ポイントについて、お話をしていきたいと思います。
経営分析
ここをきっちりと取れるかどうかが合否の別れ目となります。いろいろな意見があるかと思いますが、私は”与件ファースト”で進めました。まず与件を財務上どこに問題があるかを意識しながら読んでいきます。その後、財務分析を進めますが、与件の中で問題がある部分の分析を優先して進めることで、分析を短時間で終わらせることができます。
これまでの過去問では、収益性、効率性、安全性の3つを1つづつ記載することが基本でしたが、近年はこのパターンが崩れつつあります。このような場合においても、与件に沿って分析を進めることで、回答にたどり着くことができますし、型にはまった解法パターンで行っている受験生と差がつくことになるかと思います。
一例として、21年度の事例をご紹介したいと思います。21年度の事例4は、食品スーパーマーケット事業の事例でした。地元産の商品に拘り、地元密着を掲げ当初経営状況も安定してきましたが、2000年代に入り、コンビニエンスストアの増加や、郊外型ショッピングセンターの進出等により、苦戦を強いられ収益性が圧迫されています。
また、スーパーマーケットの他、外食事業、ネット通販事業、移動販売事業という3つの事業を行っていますが、移動販売事業は期待された成果がでず、不採算事業となっており、当該事業の対処が重要な経営課題となっている状況です。
設問では、経営指標として優れている点を2つ、劣っている点を2つ挙げさせるようにしており、この時点で、収益性、効率性、安全性のいづれかが重複して回答しなければいけないことがわかります。
経営分析の観点で、収益性が最も重要な経営指標ですので、この経営指標はきっちりと計算します。特に重要なのは売上総利益率、営業利益率なので、まずはそこを確認します。
私が気にしたポイントとしては、①地元産の商品に拘り地域密着で進めてきた、②他店舗の攻勢で収益性が圧迫されていた、という点です。
地元産で付加価値の高い商品提供はできているものの、他企業対抗のため、販管費が増大し、収益を圧迫していると仮定しました。実際に、財務分析を進めると売上総利益率が良いにも関わらず、売上営業利益率が悪い結果が出ており、この2つは回答に含めることにこの段階で決めました。
後の2つは効率性、安全性から出すのですが、与件記述として、トラックをD社が保有しているとあり、①有形固定資産が多く効率性が悪い、②借入が多く安全性が悪い、どちらかであろうと仮定して、財務分析を進めました。
財務分析を見たところ、有形固定資産回転率に比べて、自己資本比率の割合が他社に比べて極端に低かったため、自己資本比率を劣っている指標に選定。あとは効率性として、各種指標を計算し、棚卸資産回転率が他社に比べて優れていたため、
- 優れていた点:売上高総利益率、棚卸資産回転率
- 劣っていた点:売上高営業利益率、自己資本比率
と回答しました。棚卸資産回転率が高い理由としては、こだわりの地元商品の販売とあったため、高付加価値の商品により効率性が高いと判断しました。
この流れだと、D社の財務的特徴と課題についても、
こだわりの高付加価値の地元商品の販売により、粗利は高く、効率性は高いが、競争激化による販管費増により収益性は悪く、事業運営を借入金に依存しており安全性は悪い
と素直にかけます。予備校の模範回答でもおおよそ同様の指標を挙げており、題意は外していない回答だと思っています。
ちなみに、課題点を挙げる問題で、安全性については、他社や前年を下回っていないにも関わらず、絶対評価で課題と選定する場合があります。基準として、
- 自己資本比率:50% 以下、流動比率、当座比率、固定比率:100%以下
等が挙げられるので、覚えておくと良いかと思います。
CF分析
CF分析は、私が受験した年には出ませんでしたが、出題率の高い問題であり、知っていれば解けるので、CVP分析と共に、合否を分ける領域だと思います。全知全ノウに出ている問題は必ず解けるようにして、出た際に面食らわないようにしましょう。
貸倒引当金、退職給付引当金の増加や、未払利益等を考慮させる問題等も出ますので、押さえておいた方が良いです。
また、投資CFについても、ボックス図で整理できるようにしておきましょう。
CVP分析
さてCVP分析です。いくつか公式がありますので、それを使いこなせるようにしていきましょう。私はあまり公式を公式として覚えるのが苦手だったので、
- 損益分岐点比率+安全余裕率=1
- 損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷売上高
から導出するようにしていました。
最近の傾向として、少し捻ったCVP計算が出ているので、応用問題も解けるようにしておいた方がいいです。かくいう私も20年度のCVP分析で、売上高に応じて変動比率が変わる問題に手間取り、その焦りが他の問題のミスを誘発してしまった苦い過去があります。
ポイントとしては、複雑な問題はグラフで考えて視覚的に理解しながら解くことが重要と感じています。特にセールスミックスの問題で、複数の制約条件における売上最大化を計算させる問題については、制約条件をグラフ化し、交点を求めて最大値を計算させますので、この辺りの計算にも慣れておいた方がいいです。
20年度の変動率が変化する問題についても、グラフで考えることで、理解ができました。
意思決定会計
さて、意思決定会計です。こちらは詳細な解説がテキスト等で多く出ていますので、詳細はそちらを参照いただければと思いますが、基本的な問題を確実に解けるようにすることが重要だと思います。
全知全ノウの例題は、基本的な部分をわかりやすく丁寧に解説をしていただいていますので、確実に理解して解けるようにしておいた方がいいです。
ポイントとしては、毎年、意思決定会計は難問が多く、ここでつまづき、他の取るべき設問が取れない、といったことは避けましょう。
また、難しい問題で解法に手をつけられていなくても、設問を読み、回答を何かしら書いた方がいいです。取替投資等でA、B案のどちらかを答えさせる問題等ありますので、わからなくてもどちらか書くようにしておきましょう。あと、計算問題の後に、記述問題がある場合もあり、知識で解ける場合もあるので、忘れずに回答しておきましょう。
少し長くなってしまいましたが、事例4のポイントは以上です。中小企業診断士の試験勉強を通じて、事例4を最も多く勉強したと思いますが、現在、経営に携わり最も活きているのはこの事例4です。
この勉強をするまで、PL/BS/CSの意義もわかっていなかった中、財務会計を学んだことで、経営に関する理解が深まりました。1次の企業経営理論と共に、中小企業診断士試験を受ける/受けないに関わらず、今後少しでも経営に関わる方であれば、勉強しておいて損はないと思います。
これまで科目別の2次試験における私が気にしていたポイントについてまとめてきました。詳細な内容については、もちろん通信講座やテキストを参考にしていただければと思いますが、自分が色々と経験した中での気づきを纏めてきたつもりですので、こういう観点もあったのかという気づきや、こんなレベルでも合格できるのか、といった参考にしてもらえればと思います笑


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